医療的ケアと自立を考えるシンポジウム

輝くいのち、誰もが「普通」に生きられるように
今求められている、学校卒業後における障害者と家族への生活支援

2008年9月27日開催
ビッグ・アイ国際障害者交流センター
(大阪府堺市南区)


バクバクの会からの意見書
「親の負担軽減という狭く、貧しい支援策ではなく、当事者が地域の中で自立して生きることを目的とした支援策を求めます!」

採択された宣言文


2008年9月27日

親の負担軽減という狭く、貧しい支援策ではなく、
当事者が地域の中で自立して生きることを目的とした支援策を求めます!
(意 見)

人工呼吸器をつけた子の親の会
(バクバクの会)

 わたしたち、人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)は、1989年の結成以来、何よりも『子どもの命と思い』を大切に、呼吸器をつけていても、どんな障害があっても、『ひとりの人間、ひとりの子ども』として人権が尊重され、ゆがんだ当たり前を拒否しつつ、当然の権利として、地域の中で当たり前に自立して生きられる社会の実現に向けて活動してきました。

 呼吸器をつけた子どもたち、大人になりつつある子どもたちにとって、自立を阻む最大の要因は、「医療的ケア」の問題です。「医療的ケア」の問題を考える時、多くは、家族の介護負担の軽減に目が向けられがちですが、何より大事なことは、障害当事者(医療的ケアの必要な人たち)の自立と社会参加を念頭に置いた支援を追求していくことこそが、日本国憲法にある基本的人権を尊重した国の施策・理念としてあるはずです。介護負担軽減の問題は、医療的ケアの必要な人たちが自立した生活を送れるような支援が確立されることで、おのずと解決される問題です。

 当事者には当事者の、家族には家族の、それぞれがそれぞれの人生を豊かに生きることができるよう、親の負担軽減を目的とせず、当事者が地域の中で自立して生きることを目的とした支援こそが、第一義の課題です。

 2006年末に国連で採択された「障害のある人の権利に関する条約(障害者権利条約)」は、批准国が20カ国を超え、今年5月3日に発効しました。(日本政府は、この条約の内容を承認する意思表示として2007年9月に署名をしており、日本もこの条約に批准することは間違いありません。)障害者権利条約は、障害者に特別な権利を付与するものではなく、障害のない人たちに対して当たり前に保障されている社会権(社会を生きていく上で、人間らしく生きる権利。生存権、教育を受ける権利、勤労の権利など。)や自由権(国家や行政から制約を受けたり強制されたりせずに、自由にものを考え、自由に行動できる権利)を障害者に平等に保障しようとするものです。

 「医療的ケア」が必要な人たちにとって、現状のように、ケアが必要なことを理由に教育を受ける権利を制限されたり、社会との関わりを持てない生活を強いられたり、親が介護により疲労困憊して当事者の命の安全が脅かされたり、当事者の生活が本人の意思ではなく家族の介護力に規定されてしまったりしている状況は、明らかに人権侵害であり、放置することは許されません。

 人間は誰でもが年齢を重ねるにつれ、いろいろな意味で行動に制限が加わるような状況になります。いわゆる先天的に障害を持つ人、「中途障害」とされる人にだけ、こうした制限があるわけではなく、誰でもが行き着く社会状況です。

 ひとり一人の「命」や「生きる」ことが最後まで大切にされる国の施策を確立、「医療的ケア」が必要だからと、差別や排除されることがなく安心して暮らしていける社会の創造をこそが、時代と歴史が辿る道であり、そのことを主体的に強く望み、以下のことを要望します。


医療的ケアと自立を考えるシンポジウム

宣 言 文

 痰の吸引や管からの注入による栄養摂取、導尿など、医療的ケアを必要とする人が年々増加してきています。特別支援学校では看護師が配置されるなど対応が進んできていますが、学校卒業後においては、保護者が在宅ですべてを担わざる得ない状況にあります。日常生活において頼みとするヘルパーには、医療行為とされている医療的ケアが制限され、また医療的ケアの法的位置づけがあいまいなため、事故が起こった場合の責任の所在が明確でないこともあって、ケアが積極的に推進される状況が見えてきません。このようなことが相まって、何よりも現在、本人の自立と社会参加が推進されるのに程遠い現状となっています。

 こうした状況で今、保護者の身体的・精神的負担は極度に増大し生活そのものが危機的になるとともに、医療的ケアが必要な本人の生きる権利が脅かされており、こうした現状は一刻も早く解消しなければなりません。 

 本日のシンポジウムでは、医療的ケアの担い手の拡大こそが、本人の自立生活に欠かせないものであるとの共通認識が得られました。また本人の自立支援体制の整備こそが家族の負担軽減に繋がるとの確認ができました。そして、本シンポジウムに参集したメンバーによって、関係者すべてが協力し施策を推進していくことを確認し、ここに以下の宣言をいたします。

 最後に、「本人の自立支援体制の確立が最も重要であり、そのことによって、家族の負担が減り、本人も家族も豊かに生きることができる」ということを確認いたします。

2008年9月27日

「医療的ケアと自立を考えるシンポジウム」参加者一同