院内外泊の効果

 『院内外泊』聞きなれない言葉だが、病院内にいながら外泊と同じ状態で過ごすことである。

 

退院準備の一環で、まずは病室内で、本当に緊急的な必要な時以外は医療関係者は一切来ない、いわば自宅と同じ環境にして、きちんと家族だけで生活できるかという訓練である。

 

これまで教えて頂いた、医療的ケア、痰の吸引、経鼻栄養の注入、万が一カニューレやマーゲンチューブ(鼻から胃へ通しているストロー状のもの)が抜けてしまったときの対処法等頭の中を整理した。

 

不安な気持ちはもちろんあるが、それを小脇に抱えて「自分たちはやれる」と自己暗示をかける。一つ一つハードルをクリアしなければ、息子と一緒に家で生活できないと思い、必死だった。

 

そんなこんなで迎えた院内外泊であったが、大きなトラブルなく乗り切ることができた。ひさしぶりの家族水入らずの1日を楽しむという余裕はまったくなくて、夫婦ともども緊張と達成感でへとへとになったことをよく覚えている。

今となっては、当時は随分力んでいたなぁと思うが、不安をつぶしていくには院内外泊の効果は絶大だった。