会の概要

人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)は、1989年5月、長期に渡り人工呼吸器をつけている子どもたちの、安全で快適な入院生活と生きる喜びを願い、淀川キリスト教病院の院内家族の会として発足しました。翌年、人工呼吸器をつけていてもどんな障害があっても、ひとりの人間ひとりの子どもとして社会の中で当たり前に生きるためのより良い環境づくりをめざし、全国にネットワークを拡げ、全国組織として始動しました。わたしたちは、「子どもたちの命と思い」を何よりも大切にしながら様々な活動に取り組んできました。しかし、発足当時は小さかった子どもたちもすでに大人になり、「本人たちの命と思い」をより大切にした活動を当事者とともに進めていくために、2015年定期総会にて、会の名称を「バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる」に変更いたしました。

 

2019年8月現在、全国に約500名の会員がおり、力を合わせて活動しています。


会長あいさつ

     歩みを受け継ぎ、未来へつなぐ

          新会長 安平 有希

 このたび「バクバクの会」の会長を務めることになりました、安平有希です。まさか自分が会長になるなんて思ってもいませんでしたが、これまで会を支えてくださった皆さんの思いを受け取りながら、できることを一つずつ、みんなと一緒にやっていけたらと思っています。まだまだ不慣れで頼りないところもあると思いますが、どうぞ気軽に声をかけていただけたら嬉しいです。

 

 バクバクの会は、人工呼吸器をつけて生活する子どもや大人が、少しでも安心して過ごせるように、そして「ひとりじゃないよ」と感じられるつながりを大切にしてきました。「こんな方法が楽だったよ」「こんなとき困っちゃったんだよね」と、ちょっとしたことでも話せる場所があると、気持ちって本当に軽くなりますよね。制度や環境が変わっていく中でも、みんなの声が集まることで、より良い形に変えていく力になるはずです。

 

 今年は戦後八十年という大きな節目の年です。広島で会長を引き受けることになり、平和や命のことをこれまで以上に身近に感じるようになりました。呼吸器を使いながら生活する仲間が、安心して暮らせる社会であってほしい。その思いは、きっと誰にとっても優しい社会をつくることにつながっていくのだと思います。

 

 これからも無理せず、でも着実に、みんなで歩いていける会でありたいと思っています。バクバクの会は、一人ひとりの気持ちや経験が集まって成り立っている場所です。「こんな小さなこと話してもいいのかな?」ということでも、聞かせてもらえると、とても力になります。

 

 そして大人の会員のみなさんにも、これまで支えてきてくださった経験や工夫を、どうか遠慮なくお聞かせいただければ嬉しいです。大人だからこそ気づける視点や、長く過ごしてきたからこそわかる安心のヒントは、子どもたちにも家族にも、とても大きな助けになります。これからも一緒に、あたたかい会を育てていけたらと思います。どうぞよろしくお願い致します。 


退任のあいさつ

 

これからも微力ながら支えることができれば…

              前会長 新居 大作

 

 最近まで暑い日が続いたと思えば、急に冷たい風が吹き始め、夏からいきなり冬の到来で秋を感じる時間が少なくなって来たようです。四季が無くなり二季になってしまうのでしょうか…? インフルエンザも流行の兆しを見せています。皆さまお体ご自愛ください。

 

 9月に広島で開催されましたバクバクの会総会。スタッフの皆さまお疲れ様でした。橋本先生の基調講演、パネルディスカッション。その後の懇親会と充実したいい会だったと思います。そして今回の広島総会を持ちまして、務めさせて頂いていました会長のお役目を誠に勝手ながら退くことといたしました。思えば2019年に開催されました広島総会で前会長の大塚さんからお役目の引継ぎを行いました。そして退きのご挨拶をさせて頂きましたのも広島ということで偶然とはいえ感慨深いものを感じます。

 

 この約7年間でバクバクっ子たちの社会的環境は変化しました。2020年から始まったコロナウイルスの感染拡大。凄まじい感染力とデルタ株の猛威で緊急事態宣言が発令され街から人の姿が消え去りました。コロナ禍とも言われ社会機能が完全に停止しバクバクっ子たちにも影響が出ました。介護サービス中断リスク、介助者感染によるケア不能リスクが顕在化し、緊急時対応のガイドライン整備などの必要性に気づかされました。総会もオンライン開催となりました。

 

 2021年には「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が成立、施行されました。国・自治体の支援実施責務、支援センター設置等が明文化され、支援センターなどの整備が本格化しましたが、現在、整備の進行具合には地域間格差があります。法改正やそれに伴うバックアップ体制も進み始めていますが、バクバクっ子たちの地域での生活にはまだまだ様々な障壁があり、地域の学校に通えないなど悲しい知らせを聞くことが多いのも事実です。バクバクの会ではこうした事実を踏まえ改善のために取り組みを進めるでしょうし、私自身これからも微力ながら支えることができればと考えています。

 

 短い期間ではありましたがいい経験をいたしました。皆さまありがとうございました。


【バクバクの会のあゆみに関わる資料】

◆立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点ホームページ

 

◆小児在宅人工呼吸療法の開始と普及において果たした親の役割について

「人工呼吸器をつけた子の親の会〈バクバクの会〉」の活動の視点から―

The Role of Parents in Starting and Spreading the Use of Home Mechanical Ventilation by Children in Japan:

From the Activity of Bakubaku-no-kai, the Association of Parents with Children Using Artificial Ventilators

 

八木慎一 YAGI Shin’ici

(立命館大学大学院先端総合学術研究科 2009年度入学 公共領域)

 

全文→こちら 

(立命館大学大学院先端総合学術研究科『Core Ethics』Vol.8 2012年 所収)

 

要旨:

 90 年代以降,入院している人工呼吸器をつけた子どもが在宅人工呼吸療法(HMV)に移行するケースが増えている。しかし,HMV の開始と普及において子どもの親が果たした役割に関しては明らかでない。本論文では「人工呼吸器をつけた子の親の会〈バクバクの会〉」の会報と関係者へのインタビューを利用し,以下三つのことを明らかにした。第一に,HMV は83 年に国内初の事例をみるが,80 年代にその存在は呼吸器をつけた子どもの親に知られていなかった。第二に,子どもが短期間外出・外泊することに関しては,医師や看護師の役割も大きかったが,HMVに関しては親たちが主体的に選択していた。第三に,90 年以降にHMV を全国の親に認知させ,普及させていく役割を果たしたのは,〈バクバクの会〉のメディアを利用した活動の成果が大きかった。小児HMV の歴史には,呼吸器の開発といった要因に加えて,子どもの親の意思を位置づける必要がある。

 

Abstract:

In Japan, the number of children using home mechanical ventilation (HMV) has been rapidly growing from the 1990s to the present. However, the role of parents in the spread of HMV has not been researched. This paper focuses on Bakubaku-no-kai, the Association of Parents with Children Using Artificial Ventilators; the research is based on interviews and a review of group's newsletters. The research clarifies the following. First, although HMV had been introduced to Japan in 1983, most parents with children in need of an artificial ventilator were unaware of HMV until the activities of Bakubaku-no-kai from around 1990. Second, although doctors and nurses had made opportunities for letting the children go out from hospitals for short periods, it was parents who pushed for the use of HMV, because HMV enabled their children to go home permanently. Third, Bakubaku-no-kai’s activities attracted media and social attention to HMV’s potential for children, and this inspired other parents who were in similar circumstances in Japan. Therefore, in the history of HMV for children, in addition to the invention of the artificial ventilator, the will of parents in Bakubaku-no-kai must be recognized.

 

キーワード:在宅人工呼吸療法、親の会、人工呼吸器をつけた子の親の会〈バクバクの会〉、超重症児

 

Keywords:

home mechanical ventilation (HMV), parent's group, Bakubaku-no-kai, Association of Parents with Children Using Artificial Ventilators, profound and multiple disabilities