幼稚園死闘編⑧「オヤジ幼稚園に行く」

春先にプチ入院はしたものの息子は、その後は順調に登園していた。そして6月に入った蒸し暑い日に、私が息子に付き添って初めて幼稚園に登園した。漢祭り幼稚園ヴァージョンであるが、息子と二人だけで外出するのは実は初めてだったかもしれない。

 

登園前に持ち物チェックを入念にして、車に乗って登園する。幼稚園の近くのお寺の駐車場に車を止めて、そこから150mくらいを歩いていく。本来ならば幼稚園に車が止められればいいのだが、諸般の事情でそれができない状況だった。

 

入園許可が入園直前まで出なかったため、登園方法についても白紙の状態であった。それまでは幼稚園からの呼び出し、話し合いのときには1㎞の道のりを歩いて行っていた。途中まで歩道もなく、朝のラッシュ時は交通量の多い道を徒歩で通うことに不安があったのでどうしたものかと思っていた。すると同じマンションに住んでいる幼稚園の先輩ママさんから「幼稚園の近くのお寺に止めさせてもらえるかも」ということを教えていただき、すぐに家族3人でお寺に事情を話して許可をいただいた。この時に地域で生活しているといろいろな人が助けてくれる、ありがたいなと感じた。

 

ちょっと話はそれたが、緊張しながら朝の一連の流れを他の子どもたちに教えてもらいながらやった。まず、外に出て遊ぶ。息子の備え付けテーブルの上にクラスメイトがいろいろな物を持ってきてくれる。葉っぱ、草、泥だんご、砂。その後、室内に入って体を使った遊びをする。これをすると筋緊張で硬かった息子の腕が、みるみる柔らかくなってきた。歌を唄って、工作をして午前中が終わる。

 

このあと幼稚園ではお弁当となるのだが、息子の体力を考慮してこの頃はここまでで帰宅していた。息子の様子を見つつ、活動に参加して他の子どもにも気を配る。気を配るというか、ほとんど園のスタッフのごとく、面倒を見る。集中力と体力を使い果たし、この時点でかなりヘロヘロになっていた。付き添い、恐るべし。妻はこれを毎回やっているのかと思うと、何とか改善しなければならないと思った。

 

かくして、オヤジの幼稚園デビューは終わったが、息子の楽しそうな笑顔は一生忘れないだろう。